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明王院(神奈川県鎌倉市)― 納め不動2013

鎌倉駅

鎌倉駅

毎月28日というのは不動明王の縁日だ。他にも観音菩薩は18日薬師如来は8日閻魔大王は16日地蔵菩薩は24日などなど、仏だけではなく弘法大師や神様など、数多くの縁日が決まっている。

そもそも縁日って何だ?と調べてみると、特定の神仏に関係の深い日(例えば降誕であるとか示現であるとか)のことのようだ。この日にお参りするといつも以上にご利益がいただけるらしい。縁日にご開帳になる仏像も多い。

そうした中でも、1年の初めの縁日のことを「初○○」、1年の終わりの縁日のことを「納め○○」または「終い○○」と言う。1ヶ月の中でも、不動明王(および大日如来)は28日と、諸神仏ある中でも最も月末にあたり、12月28日ともなればまさに年末。1年の見仏納めとしても、納め不動にはぜひ行きたいところだ。

今年は友人たちと鎌倉五大堂・明王院の納め不動へとお参りしてきた。

明王院の本尊・不動明王坐像には、2011年秋、鎌倉国宝館での「鎌倉×密教展」で初めてお会いして、そのあまりのカッコよさに一気に惹きつけられた。その翌年、明王院で再度お会いしたのだが、そういえば初めてお参りした2年前は初不動だった。

明王院入り口

明王院は、鎌倉駅からは東方へ山を分け入った二階堂からさらに奥、十二所にある。鎌倉駅から徒歩だと40分くらいだろうか。バスも出ているので便利だ。近くには”頬焼き阿弥陀”を安置する光触寺などもある谷戸に立つ小さなお寺である。

明王院境内

お寺に到着すると、すでに納めの法要が始まっており、本堂は人で溢れかえっていた。縁側にようやく場所を確保して法要に参加する。こちらの法要は地域の方がたくさん参加されていると思われ、ほとんどの人が一緒に、般若心経や観音経を読み上げるなかなか壮観なものであった。

その後、不動明王のお膝元へ。

不動明王坐像(鎌倉時代) 寄木造 像高84cm 肥後定慶作? 国指定重要文化財

鎌倉×密教展フライヤ

「鎌倉×密教」展フライヤ

元寇の折、北条時宗が実際にこの像に調伏を祈願したという。今では不動明王のみになってしまったが、もともとは五大明王すべてが揃っていたといい、現在は江戸時代の補作の明王が脇を固める。造形から慶派の肥後定慶作と比定されており、『吾妻鏡』にもそれと見受けられる記述が見られる。

チリチリ髪天地眼利牙上下出相(牙を互いに上下に出す)など、典型的な「不動十九観」の様式である。博物館で拝見するのとは大きく違ってかなり暗いが、よく見るとそのカッコよさは揺るぎがない。目は天地眼ではあるものの、右目はより大きく開いてまっすぐをにらみ、左目は小さいながらもその鋭い眼光がまっすぐ前を睨んでいる様がかなりカッコイイ。

不動明王近影

(「鎌倉×密教」展 フライヤ)

眉は小さな左目につられて下がるのではなく目が上に上がるような形になっており、眉の左右の高さが保たれている。そこに、鼻は小鼻がやや大きめながら、鼻筋はしっかり通って整っていて、ここで顔のバランスをとっているように見える。口が珍しいほどかなり斜めになっていても、変に感じさせないのはそのためだろうか。それらがいい感じで丸い顔にきれいに収まっており、さすがは慶派の実力派の作であると感じる。

不動明王全体

(「鎌倉×密教」展図録より)

足まわりの衣紋にも惹かれる。同じ肥後定慶作の大報恩寺(京都)准胝観音像の衣紋とも類似性が見られるらしい。やや固めの布をイメージさせる直線も入った造形で、この造形がまた良い。上半身の造形との対比が面白い。

以前よりも髪の毛が白くなったようにも見受けられるが気のせいだろうか。もちろん年齢を重ねたということではあるまいが、法要の後の法話では、来年1月28日の初不動でのご開帳をもってしばらく修理に入られるということが発表された。しばらく会えなくなるのは寂しいが、次世代にもこの素晴らしい不動明王が伝えられていくためには大切なことだろうと思う。

それにしても素晴らしい不動明王だ。私の中ではナンバーワン不動明王である。

寺の庭では、納め不動の恒例だという餅つきが始まっていた。

お餅つき

お寺の若衆や、ご高齢とも見受けられるご住職も、堂々たる杵さばきでどんどんとお餅がつき上がっていく。つきあがった餅を、地域の皆さんや子どもたちがいろいろな味にあえてくださる。

餅をあえてくれます

このお寺の振る舞い餅は味が非常に多くて驚いた。ゆずみそ、おろし、きなこ、あんこ、青菜、磯の幸、みたらし、いそべ、ローズマリー、ゆず、納豆、黒ゴマ12種類!さらに2種類のお新香もあった。

つきたて餅

つきたての餅はおいしい。ありがたくいただいた。

個人的にはしらすとのりであえた「磯の幸」が一番美味しいと感じたが、どれも本当に美味しかった。

海の幸

境内のマホニア・チャリティーヒイラギナンテンの交配種)が満開だった。

マホニア・チャリティー

明王院を後にし、腰越にある宝善院というお寺で修復から帰られたという十一面観音菩薩坐像(平安時代)を拝見させていただいた後、江ノ島の夕景を味わった。海の色が不思議だった。

江ノ島からの夕景

その後、ちょっと贅沢にロマンスカーに乗って帰路についた。

今年も1年、たくさんのお寺を訪問させていただき、たくさんの素晴らしい仏像を拝見できて幸せであった。

江ノ島

明王院(みょうおういん)】

〒248-0001 神奈川県鎌倉市十二所32
TEL:0467-25-0416
拝観:毎月28日にご開帳(2014.1.28以降はしばらく修理のため拝観停止)
拝観料:特に定めはなかった
アクセス:鎌倉駅下車、京急バス 系統番号 鎌23・24・36番 「泉水橋」バス停より徒歩3分
駐車場:門前右側にあり(要確認)

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