お正月早々のエントリということで我が家のお鏡さん。今年もよろしくお願いします。
私が現在住んでいるのが、東京都の西部、多摩地区の中ほどにある日野市である。ここは何と言っても新選組が有名であり、仏像好きならば高幡不動が真っ先に思いつくだろう。高幡不動の不動明王は藤原時代作であることからしてもかなりの古刹で、この一帯にはそれなりに昔から文化が根付いていた、ということを今に伝えている。
高幡不動から浅川を渡った北側の万願寺駅周辺、石田という集落には、新選組鬼の副長・土方歳三の生家があり(さらにキヨシローやトモカズも通った都立日野高校もある)、そこからすぐのところに安養寺はある。お寺の南側を国道20号線の日野バイパスが通り私も頻繁と通行するのだが、「毘沙門天王」と書かれた赤い幟がたくさん立っているのでいつも気になっていた。
各地にある「七福神巡り」であるが、日野市にも日野七福神がある。今年は自転車で巡ろうと思っていたのだが自転車を買うのを忘れていたので、とりあえず毘沙門天だけは拝観したいと思い、安養寺へと足を運んだ。七福神巡りの1月7日までの間は、毘沙門天を間近で拝観できるという。
お寺の境内にも駐車場があるが、そこが満車でも、すぐ近くに新しく広い駐車場ができたので安心だ。
駐車場からは公園を通り抜けるとすぐに参道へと到着できる。
参道の突き当たりの門をくぐると本堂で、ここにも実は素晴らしい藤原時代作の阿弥陀如来坐像がいらっしゃるらしいが、残念ながら戸は固く閉ざされていた。
その本堂への門の手前左に、コンクリートでできている真新しい薬師堂がある。七福神巡りはこちら、と書かれている。
戸をがらりと開けて中に入ると、正面に薬師三尊像、左に尊像、そして右にお目当ての毘沙門天が見えた。
薬師三尊像(薬師如来は江戸時代中期作)寄木造 (脇侍は平成時代作)
なんだか少年のようでもありおじいちゃんのようでもあるような雰囲気があって、薬壺というよりはお茶の湯飲みを大事に持っているような感じだ。近年の補修で玉眼を入れたという。
毘沙門天立像(藤原時代)寄木造 前後割矧 像高132cm 市指定文化財
一目見て、「何という腰のひねり!」と叫びそうになった。S字そのもので、これはまねできないレベルだ。ジョン・トラボルタくらいしかできないだろう。サタデーナイトフィーバーを思い出すスタイルである。
よく見ると、体部、脚部には荒れが見られるが、シリコン等による補修が入っていることがわかる。安養寺の冊子にも特に書かれていないのでわからないが、腕と頭の状態が、体部と比べて明らかに違っている。少し調べてみると、やはり肩から先の両腕と頭部が近年の後補なのだそうだ。完全に首を欠損していたというなら仕方ないのだが、補修前の状態がどんな感じだったのかを知りたいところだ。
しかし後補部分も違和感なく作られている。
それにしても、このひねりは当初のものであるわけで、かなりすごい表現である。突き出す形の左腰が女性的ですらある。
おなかの獅子噛(しがみ)の表現もなかなかよくできている。
獅子噛の上に腹帯のようなものを巻くタイプであるが、このあたりの造形論については全く知らないので、今後調べていきたい。
足元の邪鬼も当初像ということだ。両肘をついて両腕を顎に当てるタイプ。顔の眉のあたりの盛り上がりや鼻、唇など、ゴリラやチンパンジーにしか見えない。邪鬼は人間ではないものを造形することが多いが、ここまでサル顔にするのは珍しい。
安養寺には他にも多くの仏像を安置しているといい、「安養寺の諸仏」という冊子も販売されていた。その中で大きく気になったのがこちら。
大日如来立像というのは聞いたことがない。江戸はいろいろな仏教文化があるのでそうしたものの一つなのかもしれないが、これはいつか拝見させていただきたいものだ。安養寺本尊の阿弥陀如来も素晴らしいので、拝観については今後また情報を集めようと思う。
多摩地区にもいろいろと興味深いお寺がたくさんあるようなので、少しずつ情報を集めて拝観してこちらのブログで紹介していきたいと思う。
【田村山安養寺(たむらさん・あんようじ)】
〒191-0024 東京都日野市万願寺4-20-8
TEL:042-581-3624
拝観:毘沙門天は1/1〜1/7の日野七福神巡りの際に薬師堂にて拝観可能 それ以外は不明
拝観料:なし
アクセス:多摩モノレール万願寺駅下車徒歩5分
駐車場:境内と公園の向こう側に専用駐車場あり(無料)
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