平安時代– category –
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智識寺(長野県千曲市)— 素朴ながら霊木そのもののパワー溢れる十一面観音
千曲川は言わずと知れた日本一の川である。 社会科だと「信濃川」という名前で呼ばれるこの川だが、信濃川と名乗るのは新潟県に入ってからであり、当の信濃国の中では千曲川である。名前の通り、クネクネと曲がりながら信濃の深き山を貫き、洪水を引き起こ... -
大法寺(長野県小県郡青木村)—この地の自然とともにある素朴ながらも魅力あふれる十一面観音
塩田平は前エントリで書いたように、独鈷山信仰や塩田庄、頼朝による信濃守護の設置から塩田流北条氏、という経緯を経つつ、非常に高い仏教文化が花開いた土地である。重要文化財や国宝に指定される三重塔がいくつも存在する、というのは限られた地で他に... -
中禅寺(長野県上田市)— 緑に包まれる中部地方最古の御堂に静かに佇む薬師如来と神将像
前エントリで、千曲川流域には「平」と呼ばれる河岸段丘の形成した平地状の地形がいくつもある、ということを書いたが、今回のスタート地である佐久平から北西へ進むと、上田市を中心とする上田平がある。上田平は武田信玄と村上義清が対決した上田原の合... -
福王寺(長野県佐久市)— 災難を乗り越えてきた堂々たる阿弥陀如来と仏たち
長野県は私にとっては縁の深い地である。山と自然を愛する家族に生まれ、愛知県からは行きやすいということもあって、休みというと長野へと旅をしていた。 その後、姉が長野の大学へ進み、私も運転免許は伊那でとり、また、大学の頃は更埴に2か月弱住み込... -
智満寺(静岡県島田市)— 存在感溢れる個性豊かな千手観音
静岡県には新幹線や東名高速が通り、東京から西へと向かう人たち、もしくは西から東京へと向かう人たちの多くが通る場所である。かつては東海道という大動脈が通っていたのと同様、今も日本の交通の中核を為す地域であろう。 静岡県は東西に非常に長く、東... -
地福院(静岡県河津町)— 破損しつつも女性らしき暖かさと美しさを感じさせる吉祥天
南伊豆の河津と言えば、何と言っても河津桜であろう。ソメイヨシノなどの桜よりも1ヶ月以上早く、梅と同じくらいのタイミングで咲き誇るピンク色の濃い桜で、とてもきれいだ。 ソメイヨシノは人工的な交配により作り出されたとの説が有力なのだそうだが、... -
安養寺【その2】(東京都日野市)— 藤原期の阿弥陀如来と不思議な大日如来立像
※安養寺【その1】はこちら 新選組の鬼の副長・土方歳三は、私の住む東京都日野市出身である。その菩提寺が、その名も知られた高幡不動金剛寺であり、ここには丈六の平安仏である不動明王坐像および二童子像が安置されている。そして高幡不動から浅川を渡... -
阿日寺(奈良県香芝市)— 恵心僧都生誕の地に広がる来迎ワールドと独特な魅力を湛える大日如来
恵心僧都・源信といえば、『往生要集』を著したことで知られる。この書は、後に法然や親鸞へと受け継がれ、平安末期からの浄土信仰の広がりへとつながっていくことになる。その源信が生まれたとされているのが阿日寺(あにちじ)である。 考えてみると、今... -
旧白米寺収蔵庫(奈良県磯城郡川西町)— 見事な衣紋の堂々たる地蔵菩薩
生まれてこの方、奈良に通うようになってからずいぶんと長い年月が経っているが、その多くは奈良市、斑鳩町、桜井市、室生村、明日香村など、著名な寺院や遺跡のある場所だ。それ以外の場所というと、あまり知らないのが実情である。 今回訪れた場所は、川... -
百済寺(滋賀県東近江市)— 湖東三山開帳③ 異様で独特な植木観音
西明寺と金剛輪寺は車で5分程度の距離にあるが、百済寺(ひゃくさいじ)は湖東三山の中では最も離れている。とは言え、車で20分程度であろうか。田植えの準備がすすんでいる。琵琶湖周辺の田植えの風景は本当にきれいだ。 堂々たる石碑が百済寺への道であ...