近畿地方– category –
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「観音の里の祈りと暮らし展Ⅱ—びわ湖・長浜のホトケたち—」(東京都・東京藝術大学美術館)(前編)
滋賀県は仏像の宝庫であるが、とりわけ「湖北」と呼ばれる琵琶湖の北東地域一帯は「観音の里」という別名があるほど、観音菩薩像をはじめ、数多くの仏像が存在する宝庫である。私はかねてより実家に帰省する度にこの地を訪れていたが、のどかな風景に癒や... -
西念寺(奈良県天理市)— 宿院仏師の凜々しくも美しい長谷寺式十一面観音
宿院仏師。仏像好きでも、この名前をあまり耳にしたことがない人は多いだろう。かく言う私もつい最近まで全く知らなかった。 宿院というのは地名であり、現在の奈良の宿院町、奈良女子大学の南のあたりのことである。もともとは藤原氏のための春日祭勅使の... -
東大寺大仏殿(奈良県奈良市)その(1)― 天平時代の大仏さんはどんな顔だった?
奈良といえばやはり何と言っても東大寺であり、そしてやっぱり奈良の大仏である。 私にとって東大寺はトップクラスに好きな寺院であり、よく訪れるが、大仏殿にはあまり入らない。 もちろん、大仏さんは私も好きである。小学生に入る前くらいに初めて意識... -
阿日寺(奈良県香芝市)— 恵心僧都生誕の地に広がる来迎ワールドと独特な魅力を湛える大日如来
恵心僧都・源信といえば、『往生要集』を著したことで知られる。この書は、後に法然や親鸞へと受け継がれ、平安末期からの浄土信仰の広がりへとつながっていくことになる。その源信が生まれたとされているのが阿日寺(あにちじ)である。 考えてみると、今... -
旧白米寺収蔵庫(奈良県磯城郡川西町)— 見事な衣紋の堂々たる地蔵菩薩
生まれてこの方、奈良に通うようになってからずいぶんと長い年月が経っているが、その多くは奈良市、斑鳩町、桜井市、室生村、明日香村など、著名な寺院や遺跡のある場所だ。それ以外の場所というと、あまり知らないのが実情である。 今回訪れた場所は、川... -
東大寺大仏殿(奈良県奈良市)その(2) — 大仏の脇を固める仏たち
大仏殿ではつい巨大な大仏さんにばかり目がいってしまうところ、今回はその脇を固める仏たちを見ていきたいと思う。 大仏殿って大仏さんだけじゃないの?と思う人もきっとたくさんいるだろう。正直なところ、私も長年奈良に通い何度も大仏殿に入っていて、... -
百済寺(滋賀県東近江市)— 湖東三山開帳③ 異様で独特な植木観音
西明寺と金剛輪寺は車で5分程度の距離にあるが、百済寺(ひゃくさいじ)は湖東三山の中では最も離れている。とは言え、車で20分程度であろうか。田植えの準備がすすんでいる。琵琶湖周辺の田植えの風景は本当にきれいだ。 堂々たる石碑が百済寺への道であ... -
金剛輪寺(滋賀県愛荘町)— 湖東三山開帳② とてつもないパワーを秘めた「生身の観音」
西明寺を後にして、湖東三山の二山目である金剛輪寺へ向かう。 来た道を南へと少し戻り、途中で南東に折れて少しだけ入ったところに金剛輪寺の入口はある。駐車場はガラガラで、自分の車1台しか止まっていない状態。 この看板はマンション系の色使いでちょ... -
西明寺(滋賀県犬上郡甲良町)— 湖東三山開帳① 量感たっぷりな薬師如来立像
阿修羅ブーム以来かな、という気がするが、ここ数年来、各地で仏像をテーマにした特別展であるとか、秘仏の特別ご開帳であるとか、そうしたものが頻繁に行われていると感じる。今までよく知らなかった仏像やお寺であっても、ついそうしたニュースに目が行... -
安産寺(奈良県宇陀市室生区)― 住民とともにある地蔵菩薩の心
奈良の中央の東部あたりの山間のお寺というと、長谷寺と室生寺がセットで紹介されることが多い。しかし桜井市から初瀬川に沿って東へと山へ入って行くと、長谷寺への入口はすぐに現れるが、そこから先はかなり遠く、室生寺はかなり奥だ。 室生寺は私が最も...